2022-01-01から1年間の記事一覧

大学におけるキャンセル・カルチャー

傷つきやすいアメリカの大学生たち:大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体作者:ジョナサン・ハイト,グレッグ・ルキアノフ草思社Amazon 米国の一部の大学で生じている、学生間あるいは学生ー教員間の政治的な葛藤についての説明が行われてい…

大学生による就職活動に対する評価

選ぶ就活生、選ばれる企業作者:井口尚樹晃洋書房Amazon 大学生の就職活動を対象とした研究であり、その特徴は学生を選抜する企業や官公庁ではなく大学生じしんの認識を対象にしていることである。特に、教育社会学における先行研究に対して次のような新たな…

教育社会学の読書会

低所得層家族の生活と教育戦略 ――収縮する日本型大衆社会の周縁に生きる (生活困難層の教育社会学 大規模公営団地継続調査 1巻) 『低所得層家族の生活と教育戦略:収縮する日本型大衆社会の周縁に生きる』のオンライン(Zoom)読書会を行います。日時:2022…

日本型大衆社会の収縮

低所得層家族の生活と教育戦略 ――収縮する日本型大衆社会の周縁に生きる (生活困難層の教育社会学 大規模公営団地継続調査 1巻)作者:山田 哲也,松田 洋介,小澤 浩明,樋口 くみ子,前馬 優策,長谷川 裕明石書店Amazon この書籍では第1期調査(1989~1992年)、…

友だちのような関係性を利用するビジネス

ネットワークビジネス(マルチ商法、ねずみ講)についての報道を見かけた。以前、それに関連するようなメモを書いたのでここに転載する。 いまどきのSNSには「めっちゃすごい人」がたくさんいる。お金をたくさん儲けていそうだったり、人脈が豊富そうだった…

群馬大学公開講座「大学改革と学生文化の変容」 アンケート結果

2022年8月に公開講座「大学改革と学生文化の変容」をオンラインで開催いたしました。 koukai-kouza.opric.gunma-u.ac.jp 受講者の皆さまが回答したアンケート結果の一部を紹介します。 講座を知った理由(複数回答) 1位 群馬大学ホームページ 2位 公開講座…

2022年度前期教養教育科目「若者と社会」アンケート自由記述

2022年度前期の教養教育科目「若者と社会」において、例年どおり講義期間終了後にアンケートへの回答をお願いしました。約70人の履修者(ほとんどが学部1年生)のうち19人から回答を頂きました。この回答内容を来年度のシラバスへ反映する予定です。昨年2021…

実務家教員に関するアンケート調査

科学研究費助成事業基盤研究(C)「大学教育を担う「実務家教員」に関する基礎的研究」(研究代表者:二宮祐)による研究にプロジェクトの一つとして、2022年2月~2022年5月に「大学における実務教育に関する全国調査」というアンケート調査を実施しました。…

さまざまなタイプのレポート課題

著者の皆さまからお送り頂きました。ありがとうございます。思考を鍛えるライティング教育:書く・読む・対話する・探究する力を育む作者:井下 千以子慶應義塾大学出版会Amazon 私が特に関心をもったのは、以前から様々な機会でお世話になっている成瀬先生が…

不登校についての知識のブラッシュアップ

大学院の後輩である樋口先生からお送り頂きました。ありがとうございます。 先生にお会いしたのは私が博士後期課程の頃でした。会社を辞めて修士課程に進学したものの、周囲から研究したいことが理解されずに落胆したまま修士を修了し、再度日中は別の会社で…

群大ビブリオバトル2022年6月

sakuranomori.hatenablog.com 群馬大学教養教育科目「若者と社会」では知的書評合戦ビブリオバトルをオンラインで(Zoom)で実施しています。仲の良い友だちというわけではない、見知らぬ同年代と一緒にネット上でグループ作業を行う練習をするという目的も…

『現場の大学論―大学改革を超えて未来を拓くために』2022年7月刊行

ナカニシヤ出版から『現場の大学論―大学改革を超えて未来を拓くために』が刊行されます。 honto.jp 千葉大学の崎山直樹先生(西洋近現代史)、福井県立大学の渡邉浩一先生(哲学)、そして、二宮祐(高等教育論)が共編者です。崎山先生とは2011年の文部科学…

建築空間に対する社会学による分析

創造性をデザインする: 建築空間の社会学作者:牧野 智和勁草書房Amazon著者からお送り頂きました。ありがとうございます。 本書の課題は次のように提起されている。 本書では、2で整理した先行研究の着眼点と示唆をもっとも包括的に汲み取ることができる理…

授業ってつまらないよね

学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか (ちくまプリマー新書)作者:広田 照幸筑摩書房Amazon 著者からお送り頂きました。感謝いたします。 タイトルは刺激的です。そもそも学校とは何であるのか、そして、何ではないのかについて考えてみたい場合の入門書となってい…

前垂れとグルントリッヒ

実務と教養をつなぐ:秘書教育プログラムの成立と変容作者:江藤 智佐子学文社Amazon 著者よりお送り頂きました。ありがとうございます。 博士論文を加筆・修正したものであり、とても多くの論点が含まれている貴重な研究である。考察の主な対象は副題に示され…

日本郵便「Webレター」利用の記録

調査への協力を依頼する際に郵便を利用することがある。大学院でトレーニングを受けていた頃から近年まで、(1)封筒と切手を購入する、(2)差出研究グループの責任者氏名などや連絡先が書かれたゴム印を作成する、(3)送付物を自前のコピー機で用意したり印刷会…

教員公募への応募履歴

半年ほど以前、実務家の方が大学の教員公募へ応募しているものの結果を出せないで困っているという記事を見かけた。実務家に限らず、求職中の研究者にとって公募に関する情報は気になるところであろう。なにかの参考になるかもしれないので、私がこれまでに…

科研費採択動向2021年(小区分:高等教育学関連)

久しぶりに「高等教育学関連」の科研費採択動向を考えるためのデータを整理してみる。今回は2021年に採択された研究を対象として独断で大まかな区分をしてみる(区分が不適切であれば関係の方からご連絡ください。修正いたします)なお、テクノロジーを研究…

大学院での「学び直し」経験において共通しているもの

学び直しの現象学―大学院修了者への聞き取りを通して作者:岩崎 久志晃洋書房Amazon 本書は、大学院でリカレント教育を経験した社会人を15名を対象とした聞き取り調査のうち、6名の語りを選択して分析したものである。「現象学的な視点から、質的社会調査の生…

国立大学 法人運営費交付金「成果を中心とする実績状況に基づく配分」

www.mext.go.jp 国立大学法人では、令和元年度(2019年度)から運営費交付金の一部が「成果を中心とする実績状況に基づく配分」とされることになった。これは「各国立大学等が自ら選択した枠組みに応じた重点支援評価に基づく配分」とは異なって、成果に関す…

群馬大学学びのリテラシー(2)「若者について考察する」後輩のためのアンケート

sakuranomori.hatenablog.com sakuranomori.hatenablog.com 主に学部1年生を対象とするゼミナール形式の講義(一般的には「初年次ゼミ」のような名称によって各大学で開講されている授業)でのアンケートの結果の一部を紹介します。履修者40人中、24人から回…

総合選抜制度の思い出

ふと思い出してずっと気掛かりだったことを書いてみる。私が中高生のときに住んでいた兵庫県では一部の地域における高校学区が「総合選抜」制度を導入していた。「総合選抜」の細かいルールは自治体によって異なるものの、一つの高校単位ではなく学区全体で…