新自由主義教育の40年:「生き方コントロール」の未来形作者:児美川 孝一郎青土社Amazon 本書は過去40年間を振り返って、教育政策が「新自由主義」に沿うものになっていく過程の特徴について検討するものである。「新自由主義」の定義は多様であるという留…
「学修成果の可視化」が公的な政策として掲げられた嚆矢は、おそらく平成25年(2013年度)教育再生実行会議「これからの大学教育等の在り方について(第三次提言)」(平成25年5月28日)と、それに続く文部科学省による平成26年度(2014年度)「大学教育再生…
2024年度前期教養教育科目「若者と社会」においても、これまでと同様に全15回の講義終了後に本講義独自のポートフォリオの提出と合わせてアンケートへの回答をお願いしました。約130名の履修者のうち約4割が記入した自由記述のすべてを紹介します。今後のシ…
sakuranomori.hatenablog.com 群馬大学教養教育科目「若者と社会」では、毎年「知的書評合戦ビブリオバトル」を実施しています。特に初年次学生がグループワークについて自分なりの参加姿勢を掴むことをねらいの一つとしています。苦手であれば苦手なりの方…
sakuranomori.hatenablog.com 昨年の中国観光ビザ取得に続いて、中国72/144時間トランジットビザ免除の経験についてメモを残しておく。人文社会系の学問的には「読者共同体」に対する一灯の意味をもつのだけれども、それについては最後に言及する。 2024年6…
koukai-kouza.opric.gunma-u.ac.jp 公開講座「アンケートの作り方入門」を開催します。ご関心がありましたら、上記ウェブサイトをご覧ください。開催日時:2024年8月31日(土)13:30~15:00 会場:オンライン開催 対象者:一般の方(定員なし) 受講料:無料…
講義の本題に入る前の「マクラ」としてMBTIブームに言及したところ、学生から「先生のMBTIを教えて」というリクエストを頂いた。MBTIとは何であり、それに対する多様な批判については、MBTI - Wikipediaをご覧頂くとして、いちおうの回答は次の写真である。 …
お送り頂きました。ありがとうございます。大学授業で対話はどこまで可能か: 「21世紀の教養教育」を求めて作者:山田 創平,白瀧 礼奈,入野 美香,南 太貴,小森 弥生,松尾 智晶,三次 亜紀子,中沢 正江ナカニシヤ出版Amazon 京都産業大学で約20年の実績のあるキ…
群馬大学には「学びのリテラシー2」という全学必修の教養科目がある。私はそのうち「若者について考察する」という科目を担当している。その科目に関する授業アンケートの自由記述に対して回答しておきたい。 学びのリテラシー2のねらいは次のように説明さ…
キャンパスソーシャルワーク: 大学における学生支援の必要性みらいAmazon とても勉強になった。これまでも臨床心理士、公認心理師など心理に関する専門職による学生支援は行われてきた。そこでは、心理職の専門分野である心理療法、心理コンサルテーションは…
高校・大学・社会 学びと成長のリアル 「学校と社会をつなぐ調査」10年の軌跡作者:知念渉,中村高康,濱中淳子,板倉寛,真下峯子学事出版Amazon 責任編集者が実施してきた「学校と社会をつなぐ調査」(通称:10年トランジション調査)の発達心理学や青年心理学…
pdx-c.com 劇団「パラドックス定数」のDVDを複数購入した。とりあえず「第39項 731」、「第45項 Das Orchester」、「第41項 5seconds」の順番で視聴した。この3作には共通するテーマがあるように見えた。 「第39項 731」はそのタイトルのとおり巨大な組織で…
先日、ハノイを訪問して現地の皆さまからお話しを伺いました。ありがとうございました。 さて、帰路の夕方のことである。キンマー通りから、鉄道の駅であるハノイ駅へ路線バスで向かうことにした。ハノイ駅で空港行きの格安86番バスに乗り継ぐためである。ハ…
就活の社会学作者:妹尾麻美晃洋書房Amazon 本書の問いは「なぜ大学生はやりたいことを語り、また問われるのか?」というものである。2012年から2014年頃に大学生を対象として実施したインタビューの結果を対象として分析を行っている。私の記憶では、この頃…
毎年10月頃、大学教員が企業における内定式に対して不満を表明することがある。(1)まだ働いていない学生を無給で拘束するのはおかしい、(2)授業やゼミ・研究室(卒業論文)を優先するべきである、(3)企業は日頃から大学に対して教育を充実するように要請して…
jses-web.jp 日本教育社会学会第75回大会(弘前大学)において「大卒就職後の自己啓発と社会意識」という研究発表を行った。複数の会員から「調査回答者の学生時代の専門分野による違いはないのか?」という質問を頂戴したため、学会大会終了後に追加分析を…
2023年夏に中国の査証(Lビザ)を取得したときの記録である。ビザの必要の有無、取得方法は必ずしも常に同じというわけではないものの、参考のために公開しておく。1.オンラインによる「申請表」入力と「申請日時」の予約 2023年7月下旬、中国ビザ申請セン…
2023年度前期教養教育科目「若者と社会」において、全15回の講義終了後に本講義独自のポートフォリオの提出と合わせてアンケートへの回答をお願いしました。約120名の履修者のうちおよそ30名から自由記述への回答を頂きました。来年度以降の皆さんの後輩のた…
企業が求める〈主体性〉とは何か:教育と労働をつなぐ〈主体性〉言説の分析作者:武藤 浩子東信堂Amazon 本書の問題意識は冒頭の「はしがき」で次のように述べられている。 しかしながら、社会には〈主体性〉を求める言説が満ち溢れている。〈主体性〉という…
非常勤講師の皆さま、事務職員の皆さま、大学院生の皆さまなどを対象とするFD(ファカルティ・ディベロップメント)講習会を開催いたします。全国の教育機関やそれに類する機関にご所属なさっている方であれば、どなたでも参加いただけます。内容は群馬大学…
執筆者の皆さまからお送り頂きました。ありがとうございます。深志の自治 地方公立伝統校の危機と挑戦信濃毎日新聞社Amazon 明治時代から続いている高等学校(高校)の「自治」について検討する意欲的な研究である。教育社会学において高校の研究は花形の一…
sakuranomori.hatenablog.com 群馬大学教養教育科目「若者と社会」では、毎年「知的書評合戦ビブリオバトル」を実施しています。学部・学科の枠を超えて、(学生によっては)男女別学であった高校時代のコミュニケーションの方法をいったん忘れてグループ作…
お送りいただきました。ありがとうございます。 honto.jp 〈京大発〉専門分野の越え方: 対話から生まれる学際の探求ナカニシヤ出版Amazon 大学院生が学部生を対象として模擬講義を行うことの具体的な意義は本書において繰り返し説明されていて、それらはとて…
学生からの提出されたMS-WordファイルやPDFファイルを一括でダウンロードして、それぞれのファイルへコメントを書いて学生に返却する作業をMoodleで行っている。その際に便利な機能が「すべての提出をダウンロードする」と「複数フィードバックファイルをZIP…
スヴェンスカ・ヘムの女性たち: スウェーデン「専業主婦の時代」の始まりと終わり作者:太田美幸新評論Amazon 著者の太田先生よりお送り頂いた。感謝申し上げます。 学生の頃に勉強したヨーロッパの貧困調査の歴史、社会改良運動、生活協同組合運動などを思い…
グーグルフォームなどのアンケート回収サービスが普及して以降、学部生が卒業論文のためのアンケートに対してSNSで回答を広く募るとういう問題が生じている。こうしたアンケートは様々な学問分野で行われる調査の中で「社会調査」に位置付けられるものだろう…
影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか作者:ロバート・B・チャルディーニ誠信書房Amazon 経営の実践に関心のある方によく読まれている書籍を復習する。ご商売のセールス現場だけではなく、教育機関でも活用(悪用?)されているかもしれない。私は…
資産家の財テク・学校法人設立で増加した私立大学。戦後これだけ大学は増加。しかも少子化だとわかっている1990年代から2010年までの増加が甚だしい。大学卒業しても稼げぬ人が増加するのも納得。これだけの大卒を吸収しうる雇用、経済発展もないままに単に…
傷つきやすいアメリカの大学生たち:大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体作者:ジョナサン・ハイト,グレッグ・ルキアノフ草思社Amazon 米国の一部の大学で生じている、学生間あるいは学生ー教員間の政治的な葛藤についての説明が行われてい…
選ぶ就活生、選ばれる企業作者:井口尚樹晃洋書房Amazon 大学生の就職活動を対象とした研究であり、その特徴は学生を選抜する企業や官公庁ではなく大学生じしんの認識を対象にしていることである。特に、教育社会学における先行研究に対して次のような新たな…