学内におけるFD/SDの一例

 毎年、学内の各学部・学科などを訪問してFD/SDを実施している。本年度は4月から6月にかけて教育評価の内容・方法、とりわけルーブリックの紹介を行った。その概要は次のとおりである。

1.教育評価とは
 1.1.初等中等教育における歴史的経緯
 1.2.四つの教育評価観
 1.3.教育評価の機能
2.成績評価とは
 2.1.成績評価の目的
 2.2.成績評価の方法
3.ルーブリックを用いる評価
 3.1.ルーブリックとは
 3.2.ルーブリックのメリット
 3.3.ルーブリックの事例 
4.群馬大学教養教育科目における事例
5.認証評価とルーブリック
 5.1.大学改革支援・学位授与機構
 5.2.日本高等教育評価機構
6.質疑応答ールーブリックの導入にむけて

 教育評価については、たとえば教員じしんがかつて学生として経験したことを基準として実施する傾向、それは私たちの戦前/戦後の教育観に紐づけられていること、学問分野によって評語(成績評価のアルファベットSとかCとか)に対する感覚あるいは「相場観」が異なっていること、素点と評語の関係とGPA、本来は重要である「形成的評価」が等閑視されがちであることなどの課題をお知らせしている。また、今回はあまり言及しなかったものの、行政評価(機関・組織に対する第三者評価や、それに適用されるPDCAサイクルなど)と教育評価(学生の成長を促すための評価や、それに対する教員の自省)が混同されてしまうことに対しても気を付けなければならない。
 今後も、内部質保証、厳格な成績評価、アクティブラーニング、ライティング、教養教育・初年次教育、キャリア教育などをテーマとしたFDを継続していく予定である。質保証とは「卒業する学生の質を保証することではない」し、厳格な成績評価とは「全員をC評価やD評価にすることでもないし、教職員が怖い顔をすることでもない」し、アクティブラーニングとは「他者とコミュニケーションを行うことでもないし、活発に身体を動かすことでもない」し、キャリア教育とは「あたかも『就職予備校』であるかのような心構え教育ではない」のだった。教育に関する専門的な言葉には誤解しやすいものがいくつか存在するのだ。