カシオ科学振興財団第37回(令和元年度)研究助成について

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公益財団法人カシオ科学振興財団より研究助成を頂戴することになりまして、先日研究助成金贈呈式に出席いたしました。公益財団法人カシオ科学振興財団、選考委員の皆さまにお礼申し上げます。
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研究の目的は、地方私立大学の人文系学部・学科を卒業して、とりわけ地元の製造業、金融業、サービス業などの民間企業で働く若手社会人を対象とした聞き取り調査を実施して、大学時代に経験した学習の内容や方法と、現在従事している仕事で必要とされる知識や技術との関係(または無関係)を分析することを通じて、人文系大学教育における職業的レリバンスの特徴を明らかにすることです。研究期間は2019年12月から2020年11月までの1年間です。
過去の拙論(二宮祐、2018、「学生時代の学習経験を顧みる:聞き取り調査の結果から」本田由紀編『文系大学教育は仕事の役に立つのか』ナカニシヤ出版)で考察した調査では、その対象者が関東、関西の都市部にある大学出身者が多い結果になりました。また、対象者の出身学部・学科を法学、社会学に限定しました。多くの研究者からその制約による研究の強みと、同時に限界の指摘を頂きまして、ありがとうございました。そこで、今回の研究ではその幅を広げるべく、地方の私立大学出身者に限定をかけたうえで、人文系学部・学科の出身者にお話しを聞いてみることとなります。聞き取り調査なので、人文系学部・学科「全体」の特徴が明らかになるというわけではありませんが、近年社会学や教育社会学の分野で地道な実証が進められている「(若者の)ローカルトラック」の先行研究をふまえたうえで、これまではあまり研究の対象とされてこなかった当該分野における職業的レリバンスに関して、その若手社会人による自己認識の一端を考察できると見込んでいます。「がんばっている」地方私立大学の人文系・学科の成果について考察する予定です。
なお、贈呈式ではカシオ計算機の研究開発の歴史、特に「リレー式計算機」の開発の苦労についての紹介があり、とても勉強になりました。機会を見つけて、世田谷の樫尾俊雄発明記念館へ訪問してみます。