専門職養成の日本的構造 (高等教育シリーズ)

専門職養成の日本的構造 (高等教育シリーズ)

今日の教授会は久々の長丁場で、集中力が途切れてしまった。合間を見て、この本に書かれている、近年のビジネスプロフェッショナルの養成について考えていた。
大学改革 課題と争点
知財立国への道
[高等教育シリーズ] 日本の産学連携 (高等教育シリーズ 141)
この辺りの文献をもとに歴史的な「事実」を語るのはとても危うい。そもそも出版自体に、意図があると見なければならない。「アクター」という言葉を用いるような分析枠組みを採用するのであれば、その政治性に目配りが必要であろう―「××立国」論、もはや古い言葉であるが、その政治性は言い尽くされてきた。経緯の説明からは、国家・政府は一枚岩であり、文部科学省経済産業省の間には、あたかも何も相克が存在しなかったかのようである。しかし、果たして本当にそうだったのか。また、「大学発ベンチャー1000社計画」は経済産業省の政策としては何ら不思議はないのだが、一方で、それが経営者団体の理解を得られるものなのどうか、よくわからない。政策過程としては平板過ぎるように思われるし、平板な経緯が「事実」なのであれば、それなりに理由があるはずである。つまり、「パワーバランス」が本書のキーワードであるとして、「バランス」がいかに成立しているのかについての説明が不足しているのである。