書籍

右の写真は今日の大学通りの桜である。雨に打たれて少しさみしい。 さて、毎年この時期、私は大学で学ぶことの意味を問う文献を復習することにしている。最近出版された大学活用術のようなhow to本も悪くはないけれども、読み継がれてきたものから得ることも…

ポストモラトリアム時代の若者たち (社会的排除を超えて)作者: 村澤和多里,山尾貴則,村澤真保呂出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2012/10/20メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 32回この商品を含むブログ (8件) を見る臨床心理学者と社会学者の…

「東京」に出る若者たち―仕事・社会関係・地域間格差作者: 石黒格,杉浦裕晃,山口恵子,李永俊出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2012/09メディア: 単行本 クリック: 32回この商品を含むブログ (2件) を見る経済学に依拠した労働移動の分析であるため、…

社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動作者: 山口智美,斉藤正美,荻上チキ出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2012/10/31メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 332回この商品を含むブログ (34件) を見る政策過程論として読むと同…

新しい左翼入門―相克の運動史は超えられるか (講談社現代新書)作者: 松尾匡出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/07/18メディア: 新書購入: 4人 クリック: 61回この商品を含むブログ (29件) を見る備忘。全教/日教組の対立もこの枠組みで理解してよいだろう…

団地の空間政治学 (NHKブックス No.1195)作者: 原武史出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2012/09/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (22件) を見る先日、私自身の「団地体験」をほんの少し書いたところである…

反大学論と大学史研究―中野実の足跡作者: 中野実研究会出版社/メーカー: 東信堂発売日: 2005/06メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログを見る東信堂による帯は「70年代の日本とは何であったか!」、「(筆者には)大学史研究者として知られる近…

高校の「女性」校長が少ないのはなぜか―都道府県別分析と女性校長インタビューから探る作者: 河野銀子,村松泰子出版社/メーカー: 学文社発売日: 2011/11メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログを見る明快な問いが示されている―「なぜ女性校長が…

ソーシャル・キャピタルのフロンティア―その到達点と可能性作者: 稲葉陽二,近藤克則,宮田加久子,大守隆,矢野聡出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2011/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る第1章「座談会―ソー…

対人援助のためのグループワーク作者: 福山 清蔵 ,福山 清蔵出版社/メーカー: 誠信書房発売日: 2011/06/13メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログを見る先日のFDにおいて紹介した書籍である。集団を形成するには、一定の手続きに従っ…

先日の朝日に掲載された野中郁次郎の記事の件、暗黙知の概念を誤解しているという指摘、ほんとうは正確に理解しているけれどもあえて間違った使い方をしているという指摘、どちらの指摘が妥当なのだろうか。 暗黙知については、ちょうど先日の研究会で考えて…

教育 2012年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: かもがわ出版発売日: 2012/08/10メディア: 雑誌購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見るメッセージ「教育科学研究会再建60周年に寄せて」がおもしろい。 太田堯論文「教育は『総合芸術』」は、…

田中真理・池田忠義・堀匡・佐藤静香『学生のための心理・教育的支援』東北大学高等教育開発推進センター 大学への「適応」を個人の心理的な課題としてのみ捉えようとする傾向には注意しなければならない。それも重要であるのと同時に、そもそも大学特有の文…

「女子」の時代! (青弓社ライブラリー)作者: 馬場伸彦,池田太臣出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (6件) を見る第6章 信時哲郎「女子と鉄道趣味」 私は鉄道に関心がないのだけれども、こ…

失われざる十年の記憶―一九九〇年代の社会学作者: 鈴木智之,西田善行出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/06メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る第1章 佐幸信介「郊外空間の反転した世界―『空中庭園』と住空間の経験」 『滝山…

本学のミスコンが話題になっている。私は自治を重視する立場から、学生の皆さんじしんが問題を解決することを願っているところである。ただ、ジェンダーやセクシュアリティに関する議論が行なわれていないことが寂しいと感じるのだ。性別秩序の世界―ジェンダ…

グローバル化・社会変動と教育〈1〉市場と労働の教育社会学作者: ヒューローダー,ジョアンヌディラボー,A.H.ハルゼー,フィリップブラウン,Phillip Brown,Jo‐Anne Dillabough,Hugh Lauder,A.H. Halsey,広田照幸,吉田文,本田由紀出版社/メーカー: 東京大学出版…

男らしさという病?―ポップ・カルチャーの新・男性学作者: 熊田一雄出版社/メーカー: 風媒社発売日: 2005/09メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (19件) を見る著者が指摘するように、確かに伊藤公雄以降、男性学は理論的にも運動…

男らしさという病?―ポップ・カルチャーの新・男性学作者: 熊田一雄出版社/メーカー: 風媒社発売日: 2005/09メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (19件) を見る著者が指摘するように、確かに伊藤公雄以降、男性学は理論的にも運動…

高等教育学会のおおまかな感想である。 「教学マネジメント」の課題研究。(乱暴にまとめてしまえば、)さまざまな問題点はあるけれども、各大学、学部の実情に応じた意思疎通の徹底、各種ツールの導入が必要だ、という趣旨であった。私はそうした実践に傾斜…

日本の介護システム――政策決定過程と現場ニーズの分析作者: 結城康博出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/06/30メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブログ (3件) を見る政策決定過程の勉強をしていたつもりだったのだが―政策決定過程…

日銀の政策形成 ―「議事録」等にみる、政策判断の動機と整合性作者: 梅田雅信出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/03/18メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログを見るかつてある議事録の分析を試みたことがある。しかし、どうも徒手…

Fderとしては良くないことだが、現代の大学教育実践研究を読むのが嫌いである。そのため、このブログで言及することはあまりない。全国のFderは膨大な実践研究をどこまで読み込めているのだろうか。 講義前の関心・意欲・態度に関するアンケート → 低調な回…

大学改革 日本とアメリカ作者: 舘昭出版社/メーカー: 玉川大学出版部発売日: 1997/12メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見るやや忘れられている秋季入学構想についてである。 「大正10年の大改革」は覚えていた。しかし、それ以前に教育…

教育 2012年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: かもがわ出版発売日: 2012/04/10メディア: 雑誌 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るいろいろな研究者が本格的な日教組研究に取り組み始めていると聞いている。あわせて、教科研についても検討しなけ…

教育 2012年 04月号 [雑誌]出版社/メーカー: かもがわ出版発売日: 2012/03/10メディア: 雑誌 クリック: 7回この商品を含むブログを見る今月号からリニューアル。かもがわ出版から発売されることになったとのことです。先ほど、定期購読の申込みを済ませたと…

出張を終えて帰宅。まとまった時間を取ることができず、年度末になってしまった。 印象深いできごとは2点あった。1つは、ある大学図書館のコピー機の利用料金の支払い方法がEdyに限定されていたことである。いつものように用意していた3,000円分の硬貨、数枚…

愛国心: 国家・国民・教育をめぐって (学術叢書)作者: 市川昭午出版社/メーカー: 学術出版会発売日: 2011/09/21メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 18回この商品を含むブログ (1件) を見る本日の研究会において、著者の市川昭午先生、そして、潮木守一先生…

自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究作者: 牧野智和出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2012/03/07メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 36回この商品を含むブログ (20件) を見る数年前から勝手に応援していた研究者の論文がついに書籍となった―面識…

大阪維新の会「教育基本条例案」何が問題か?作者: 市川昭午出版社/メーカー: 教育開発研究所発売日: 2011/12メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (6件) を見る 地方教育行政において条例内容を評価する基準としては、一般に「必要…