大学のカリキュラムマネジメント―理論と実際

大学のカリキュラムマネジメント―理論と実際

政策史や認証評価についての勉強にはなる。しかし、タイトルにあるような大学におけるカリキュラム理論、あるいは、カリキュラムのマネジメント理論が深められているか、私にはやや疑問が残るところであった。

カリキュラムとマネジメントとは形式的には2つの分野(カリキュラム学と学校経営学)の学問領域の接合(学際)ではあるが、カリキュラムマネジメントとして(中黒はこの場合、必要ではない)、一語の熟語として使っているのは、双方の総体(ワンセット)を重視しているからである。
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おそらく、私が「理論」という言葉の意味を捉えきれていないゆえに生じる違和感なのだろう。構造化理論やシステム理論といった類いの「理論」を期待してしまうのだけれども、どうもそういうことではない。理論というよりはカリキュラムに関する一連の実践を経営学の概念―たとえば、マネジメントサイクル―で置き直してみた、というように見えるのである。大学の意思決定はどうしても「ゴミ缶」的な性格にならざるを得ないところがあるので、そうした置き直しが重要な営みであることは理解できるものの、もう少し言葉遣いが慎重であってもよかったのかもしれない。検討対象がただ教育機関であるというだけで「学校経営学」固有の特徴も挙げられていないので、それならば、連字符なしの経営学で分析、提言したと言えばよいのではないだろうか。