経営者・学生・文部科学省が就活問題解決の糸口を徹底議論~「就活熟議」「就活アンケート」キックオフ座談会を開催~:文部科学省


バーチャル熟議、リアル熟議は E. E. Schattschneider が言う「偏向の動員」の大掛かりな装置である。ある争点が取り上げられる一方で、ある争点は注意深く隠蔽される。学生の責任を追及する「ミスマッチ」論は挙げられるが、社会政策の不備*1は挙げられない。某就活デモの参加者が提起するような論点もまた、残念ながら出てこないだろう。「幅広い当事者」や「多様な当事者」は、その正統化に役立つ便利な表現である。参加者を注意深く見てみれば、「幅広い」わけでも「多様な」わけでもないことはすぐにわかる。「提言・宣言」をまとめるということは、ほんらいはそれこそ「多様」であるはずの選択肢を制限するということであって、それは「権力の『最高の手段』」にほかならない。あらかじめ争点の範囲が限定されてしまっていることに気付くことができるだろうか。



貧者の領域---誰が排除されているのか (河出ブックス)

貧者の領域---誰が排除されているのか (河出ブックス)

排除―たとえば、都市下層の隠蔽―という問題は、過去のもの、中高年層のものに決して限定されるわけではない。それは、現代の若者の問題でもあること、筆者が言うように問題が「心理」の次元に矮小化されていること、果たしてこうした論点が出てくるのか心もとない。

*1:雇用保険三事業のような政策が懐かしい…。