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NPO法人DSS という団体がある。ウェブサイトの右下にある「会社概要」を見ると、その正式名称は「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会」となっている。この法人は大学教育に関するデータ、具体的には学生の成績データを収集、それを企業に提供することによって、企業の採用活動に資することを目的としている。さらに、そのことを通じて、学生の学びを励ますことや大学教育を充実させることが見込まれているようである。
私は法人設立以前よりこの試みを知っていたのであるが、おそらくはご商売ということになるだろうから、それを邪魔することになる可能性のあるコメントを出すのは差し控えていた。実際、冒頭に記載したようにNPO法人であるにもかかわらず「会社」と記載されていること、法人に対する顧客企業の支払い手続きを円滑にするためという理由によって 株式会社大学成績センター という別組織をわざわざ株式会社として立ち上げていることから、必要経費を徴収するだけで営利を求めないというわけではないことがわかる。


http://dscenter.co.jp/flow.html#fee
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さて、このこと自体はご商売であるのだから応援したい。なるべく費用をかけずにたくさんの情報を一ヶ所に集めて、それをまとめて販売するというビジネスモデルを援用しているのである。セールスアンドマーケティングの力量を必要とするためか、他社が真似をしようとしてもなかなか成功しないご商売のあり方である。さらに、知り合いの学者数名もこの試みに期待していたようである。あまりにも課外活動やアルバイトを重視する従来の採用活動を是正することが可能であるかのようにみえるからである。
しかし、同時に私としては特に学生に対して注意喚起をしておきたい。その理由は、第1に法人が個人情報保護に関する情報提供をまったく行っていないことについてである。本エントリ執筆時点では大手就活サイトとは異なって、JIS Q 15001、プライバシーマーク、その他個人情報保護に関する各省庁のガイドライン個人情報の保護に関するガイドラインについて(平成26年11月26日現在)消費者庁)等に則って業務を遂行しているという表明は行われていない―個人情報保護の徹底を主張していた企業がデータの漏えいを引き起こすという事例もあるものの、そうした表明がまったく存在しないよりは良いだろう。あるいは、ISO 9000シリーズのような品質マネジメントの構築を行っているという表明もない。これらのことから学生が法人へ成績データを提供する際、それが漏えいする可能性があることを覚悟しておかなければならないはずなのである。第2に今ではもう見られなくなっているようだけれども、かつて法人がデータ収集を試行した際、その対象がいわゆる銘柄大学に集中していたことについてである。法人のねらいからすれば同一大学、学部に関する大量のデータを必要とするわけであって、銘柄大学に該当しないデータは収集されたとしても活用されないのである。どうして銘柄大学に焦点を絞ったのかは明記されていなかったものの、おそらくはご商売の都合によるものと推測するのである。銘柄大学だけの「ねじれ」を直すことを目的としているかのようである。


もし、関係者の方がご覧になって事実誤認があれば指摘ください。必要に応じて修正します。