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教育社会学におけるトランジッション研究では、「学校等の行う無料職業紹介事業」の根拠として職業安定法の存在を挙げてきた。教育機関は、職業紹介を行うことが例外的に認められてきた。これは、「現場」では当たり前のことにすぎないのだが、研究の世界では「発見」と呼ぶに相応しいものだった。
そして、現代的な課題としてまだよくわからないことが、教育機関(特に大学)と有料職業紹介事業の整合性についてである。有料職業紹介事業は厚生労働大臣の許可を受けなければならないが、その手続きは必ずしも簡単ではない。

1)大学や大学関係機関が有料職業紹介事業の許可を受けて実施する。
http://www.rikkyo.ac.jp/rikkyo-planning/info/004/
立教大学の例である。立教大学のキャリアセンターは有名であるが、すでに収益事業まで行っている。

2)民間事業者が有料職業紹介事業の許可を受けて、学生に直接コンタクトを取る。
http://www.puff.co.jp/company/01.html
管見の限り、この事業者は老舗といえるだろうか。転職事業をメインとする大企業とは異なる、当時としては言わばニッチの商売を始めたベンチャー企業としてである。学生を集めて求人企業に会わせる。そして、求人企業から手数料を得る。事業者にとって学生は「商品」である。学生は利用されているに過ぎないのだが、利益がないわけでもない。

3)有料職業紹介事業の許可を確認できない民間事業者が、学生に直接コンタクトを取る。
http://www.qol-inc.com/company/
一橋関係者には「うじきよわし」として知名度が高いであろう。事業内容は2)と同じであって、本学の学内においても、イベントを実施しているようである。しかし、有料職業紹介事業の許可を有しているかどうかどうか確認できない。この種の事業者が雨後の筍のように乱立していて、大学内で活動している。

1)については、私学経営のことであるから、あまり疑問を持たない。しかも立教大学は、学校法人としてではなく、別途設立した株式会社として経営しているのだから、まったく私企業の自由である(こうした手段の問題性を指摘できないこともないが、ここでの射程外である)。わからないのが、2)や3)のケースである。従来、学生の就職活動は、学生が学内の就職課や就職課の指導のもとにある学外の職業紹介事業者を経由して企業とつながる、学生が直接企業とつながる、学外で学生が職業紹介事業者・公的職業紹介機関を経由して企業とつながる、これらが想定されてきた。しかし、2)や3)の中には、学生主催というイベントを隠れ蓑として、大学内で事業をしていることがある。そのうえ、3)は職業安定法の遵守を確認できない。80年代から隆盛している「大学生ビジネス」の延長と片付けることも可能だが、教育活動を圧迫するようなことも見られることから気がかりなのだ。当然ながら、職業安定法には教育の観点からの違反事業者への処罰や指導の規定などない。