今日は自主ゼミを行いました。学部生8人に集まって頂きました(そのうち、半数以上が経済学部というのは、偶然のことだと思います)。
私が提示した論点の1つは、震災の復興期において権力によって紡がれるであろう「回復の物語」の支配性に対抗し得るかということでした。たとえば、ある大学は「再生に取り組む」ことを課題として掲げるのですが、そこにあるべき「再生」の方向性、つまり、元の状態にそっくりそのまま戻ることが、社会制度についてのみならず個人の内面についてまで埋め込まれていることに危惧を覚えます。しかし、検討文献が示すように個人の「回復の物語」は多様です。物語に複数の筋があったり、回復できなかったり/しなかったりということは必ずあることです。私の関心は、必ずしもそっくりそのまま戻るわけではない「回復」がいかにして可能かについてありました。
今日の参加者は理論への関心が強かったようで、とても頼もしいことです。以上のような私の実践への関心とはややズレがありましたが、それゆえに理論の勉強の必要性を強く感じました。次のような文献を読んでみる必要があるかもしれません。
- 作者: リチャードS.ラザルス,Richard S. Lazarus,本明寛,小川浩,野口京子,八尋華那雄
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2004/05
- メディア: 単行本
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- 作者: S・マクナミー,K・J・ガーゲン,野口裕二,野村直樹
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 1998/01
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また、ゼミが始まる前に、ましこが梶田の価値を十分に認めながらも、手厳しく批判している理由がなかなか掴めないという話しをしていました。もう1度、梶田の著作に戻って考えてみたいと思います。
テクノクラシーと社会運動―対抗的相補性の社会学 (現代社会学叢書)
- 作者: 梶田孝道
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1988/12
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