今週末の某学会、私は自由研究発表のサブタイトルを入れることを忘れてしまっていた。これでは、発表内容のあらましがまったくわからない。そこで、以下、配布される予定の要旨集の一部を抜粋しておく。

ビジネス・スクールにおけるケース・メソッドに関する考察
○二宮 祐(一橋大学


ビジネス・スクールにおいて行われているケース・メソッドとは、経営の実例をもとにして作成された教材を用いて、経営者、管理者が判断するべきことがらに関して、学生間の議論を通じて学習する方法である。教材にはただ単に客観的事実が描かれているだけで、その分析や正解は一切示されていない。学生自らが正解を導き出さなければならないようになっている。本発表の目的は、ケース・メソッドを心理学に由来する技法として捉え直すことを通じて、その特徴を明らかにすることである。


(略)


参考文献
佐藤三郎編、1969、『人間関係の教授法―事例法の研究』明治図書出版
関計夫、1965、『感受性訓練』誠信書房
竹内伸一、2010、『ケースメソッド教授法入門―理論・技法・演習・ココロ』慶應義塾大学出版会。
津田眞澂、1977、『人事労務管理の思想』有斐閣
辻村宏和、2001、『経営者育成の理論的基盤―経営技能の習得とケース・メソッド』文眞堂。

たとえば、KBSが作成した日本版ケースをみてみると、70年代までは圧倒的に組織行動と人的資源管理が多い。会計やマーケティングが扱われるのは近年のことである。そこで、F. J. Roethlisberger の狂言回しとしての役割を考察したいのだけれども、果たして成功しているかどうか。当日出席なさる会員の皆さんと、ぜひ議論させて頂きたいと思う。ところで、6月上旬の別の学会では、まったく異なるテーマで報告する予定である。しかし、狂言回しの役者衆はそれほど変わらない。前面に出しているそれぞれのテーマと同じ程度に、狂言回しに強い関心を持っているのである。