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週刊 東洋経済 2012年 8/25号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2012年 8/25号 [雑誌]

出張の空き時間に昨日購入した週刊東洋経済を読む。
今週の特集はリクルートであった。私は少なからず同社と関わりがあるので、どうしても気になってしまう。口癖のひとつが「フィジビリ」である、講義でZD運動の説明を故意に間違える(もちろん、すぐに訂正する)、同社への入社希望者に対して厳しい予算達成への圧力やビル倒しのような根性論的(?)研修に耐えられるかどうかを尋ねるなど、常に頭の片隅にある企業である。同社の従業員だったり元リク=卒業者だったりする知人が多く、また、かつての勤務先のひとつが同社へのM&Aを検討していた―ダイエーが株式を手放しがっていた時代である―ためである。
内容は全体としては提灯記事である。たとえば、労働者派遣について「冷静に考えれば、職業や雇用形態の選択は、成熟した経済社会では当然の現象といえよう」(62頁)という、どのように冷静に考えた結果、労働者派遣と「成熟した経済社会」がダイレクトにむすびつくのかまったくわからない記事もある。そうした性格の記事であるから仕方がないものの、もう少し同社で働く正社員、契約社員の実像に迫ってほしかった。『かもめ』の記事の転載が少しでも可能であったならば、僅かばかりでもほんとうの同社の営業の特徴を伝えられることができたのではないだろうか。「成功」した元リクのインタビューばかりでは、決して実情は理解できない。平均年齢が依然として30代前半であること、有利子負債の圧縮に成功したこと、そうした一見すると特異にみえる個々の現象について、市場の成長やスーパーセールスパーソンの武勇伝ではなく、一般の従業員―取材の撮影でロクロを回さない人びと―働きぶりやそれに関連する組織文化の性格を深く知りたいのだ。
また、私は経営学、経営実践に不案内なのでおかしなことを言うのかもしれないが、同社は記事で紹介されているいわゆるビッグデータの扱いは苦手としてきたのではないだろうか。各ディビジョンでデータが共有されてこなかったという問題があったはずだ。持ち株会社化、分社化によって、その傾向は強まるだろう。ベネッセにできることがリクルートにはできない理由を本学商学部の学生の皆さんに問うてみたいところである。
最後に、定期的にブログに書いたり知り合いの研究者に話したりしているものの、まったく進めていない私の研究課題のひとつが、リクルート・グループが関わってきた就職に用いられる各種のペーパーテストの発展に貢献したであろう(教育)心理学に関する知識社会学的研究である*1。心理アセスメントのテキストには概略が説明されているものの、それとビジネスとの相互関係のプロセスの歴史がよくわからない*2。こんな短い説明ですが、もし関心のある研究者がいればご一報ください。

*1:このままだとなかなか進まないので、年度末までに問題関心を整理するための文章を書くことにする←宣言

*2:労働省GATB、大学入試の模倣、矢田部ギルフォード検査、内田クレペリン…、なぜこれらではなくSPIでなければならないのだろう。