今日も部活動・サークル勧誘で、キャンパスは華やいでいました。教員である私もまた、「新入生に渡してほしい」と大量のチラシをもらってしまいました。お預かりしたチラシは何とか捌きます。
さて、問題は学外者による宗教の勧誘です。今日は、その勧誘場面を何度か見かけましたので、その度に私なりに信教の自由に配慮しつつ、伝道を行っていた方に対して議論させて頂きました。ただ、例年のように、そもそも宗教の勧誘であるとは決して明らかにしないので、信教の自由を持ち出すまでもないことがほとんどではありました。相手の方に「名誉棄損で訴えます!」、「スーツを着た『変態』、いやー、気持ち悪い、来ないでー」などと叫ばれてしまいました。法的な議論をするのであれば相互に得ることがそれなりにあるでしょうし、また、他者の「変態」呼ばわりはその宗教の理念上適切なのかどうか気になるところです。冗談で「変態」と言われることはあっても、冗談ではなく「変態」と言われたのは初めてのことで、何とも言いようのない気持ちになりました。
今日目立ったのは、次のような特徴がある団体です。(1) 日本語が流暢な30歳前後の方1名、(2) 日本語によるコミュニケーションに特に問題はないと思われる25歳前後の方数名、(3) ほとんど日本語を解さない20歳前後の方20名前後、(4) 以上の(1)〜(3)とは常に別行動を取る25歳前後の方数名です。勧誘を実行するのは(2)、(4)のうち女性が中心で、勧誘場面以外ではいつも携帯電話で誰かと話しをしています。1対1で勧誘するように心掛けているようで、その点は学内者とは異なっています。そして、(3)は、当方から本学にいる理由を訪ねた際に、「将来、留学したいので見学に来ている」と答えるための人びとのようです。日本ではあまり知られていない CCC を知っていることも特徴的です。実は、この特徴を持つ団体は数年前からよく見かけます。大抵は、ゴスペル・サークルの発表会のチラシを配っているのですが、今日に限っては「Pray for Japan」と書かれたチラシを配っていました。この団体が何であるのか、大体の想像は容易です。カルトかどうかという問題については、カルトの定義によります。川島堅二先生のウェブサイトが参考になるでしょう。
http://religion.web.infoseek.co.jp/religion/
昨年、南米からの留学生に指摘されて、はっとしたことがあります。もしかすると、日本人はゴスペルがキリスト教の音楽であることを知らないのではないか(ゴスペラーズ人気の功罪?)、宗教団体の中にはその無知を利用しているところがあるのではないか、ということです。学生に対してはゴスペル・サークルに宗教性を決して見せないようにしつつ、一方で、私がそれを問い詰めると、「そもそもゴスペルが宗教音楽であることは常識です」と切り返すといったようにです。
私の学生時代は、オウム真理教が話題になっていました。当時、一橋大学社会学部の矢澤修次郎先生が、オウム真理教を指して「排除された者の、排除された者による、排除された者のためのコミュニティ」であるとして、性急な批判を抑えつつ、しかしながら同時に、問題へ対峙することに困惑せざるを得ないといった趣旨のことを述べていたことがとても印象的でした。