研究ベース学習

研究ベース学習

先日、FDと名付けてもよいであろう打ち合わせ―専門科目の初年次教育をどうするか―で紹介した本のひとつである。「学び直し」を目的とする初年次教育の良書は数多く出版されている一方で、卒業論文修士論文の執筆までをも見据えるようなテキストは稀である。そうした初年次教育に関する文献の状況の中で、この本は京都大学の初年次教育の実践を基に書かれている。入学したばかりの大学生が研究の進め方とはこういうものであると少しずつ分かるようになっている出色の出来である。学部の初年次教育科目のご担当の先生に一読を勧めたい。
以下は、本の付録として紹介されている京都大学全学共通科目「研究の世界A」の各回の講義の抜粋である。仮説の設定、実証、論文執筆、査読、学会発表をグループワークによって進めていく。「課題論文にかかわる著作物の利用許諾について」を高等教育研究開発推進センター長にて提出するほどの徹底!学部1年生のとき、こんな講義を履修してみたかった。

第1回 ガイダン
→昨年度受講生の成果物について意見交換など
第2回 研究テーマの設定
第3回 論理実証主義
第4回 実証すべき仮説の絞込み
第5回 アンケートの実践
→システムを通じて相互にアンケートを実施、回収
第6回 アンケートの調査結果の集計と分析
第7回 データの視覚化表現
Excelの活用
第8回 研究論文執筆入門
→「論文スケルトン」などについて
第9回 論文査読について
→「トピックセンテンス」「サポートセンテンス」、査読の仕組みやインパクトファクターなどについて
第10回 著作権
知的所有権著作権法などについて
第11回 査読体験
→グループ毎に編集委員長を選んで、グループ内で査読を割り振る
第12回 回答書・修正論文の評価
第13回 研究発表
第14回 グループ内プレゼンテーション実践
第15回 クラス内発表会