群馬大学卒業生の皆さまへご案内

 群馬大学では、卒業生の皆さま百数十名を対象としたインタビューを実施しています。お勤め先、または、大学から連絡を差し上げる場合がございます。皆さまのご意見をもとにして、大学教育の改善を行うことを目的としています。インタビューはご都合に応じて集団で行ったり、個人で行ったりします。その折には忌憚のないお考えを伝えて頂きたいと望んでおります。どうぞよろしくお願いいたします。




 以下は、その件とはまったく関係のないことです。私はかつて会社員をしていたとき、顧客企業に勤務する若手~中堅の方を対象としたインタビューを行うという仕事をしておりました。当時、「系列」や「財閥」を超えた企業の統合や、同じグループ内であっても歴史的な事情があるために、地域ごと商品・サービスごとに複数の別会社になっていた組織の統合ということが進められていました。そうした統合に付随するさまざまな業務のうち、私の担当は組織マネジメントに関する仕事でした。たとえば、A社の営業第一課長代理とB社の営業第二課長とでは、C社の総務部係長とD社の労務部主任とでは、E社の専門学校卒12年目32歳とF社の大学卒転職経験者32歳とでは、どちらの方の職責がどれくらい重いのかを調べて、根拠をまとめて、統合後における配属、役職、給与などについて提案することでした。
 ある1週間はインタビューばかりの仕事が続きます。月曜日の午前9時に名古屋駅に到着して、駅近くのビルに向かいます。9時半から18時半までお昼休みを挟んで、1人につきおよそ40~60分、主に仕事内容を尋ねながら、やりがいやご不満についてもお話しを伺いました。次の日も同様、朝から夜までビルに缶詰めです。夜に新大阪駅へ移動して、次の日からさらに2日間、中之島で同じことを繰り返します。夜に東京へ戻って、翌日の金曜日にはノートに書き留めていた膨大なインタビュー記録をPCで整理します。顧客各社の従業員、労働組合、経営層、取引先、株主の皆さんが納得できる「おとしどころ」を、同僚の社会保険労務士と一緒に探っていきます。
 インタビューでは、いろいろなことを教えて頂きました。協力頂いた従業員の方ご自身では当たり前のこと、当然のこと、わざわざ他人に話す必要はないようなことだと認識していることが、実はまったくそうではなく、関係者全員にとても重要なことであるという発見を得ることがよくありました。特に、経営層からは早く知りたかったといわれることが何度もありました。若手が現在経験中のことは、なかなか上長には伝わらないようです。また、紙によるアンケートではわからなかったことが、インタビューによって明らかになることがあるようです。私はこの仕事に就く以前に、企業統合ではなく企業分社というまったく反対方向の職に就いていたことがあります。分社の仕事ではインタビューを行わなかったのですが、今から思えば丁寧に皆さまからお話しを伺うべきでした。




 この経験は皆さまへのインタビューとは関係のないことです。同時に、インタビューだからこそ導き出せる見解があるということは共通しているかもしれません。皆さまの後輩がさらに良い学習の機会を得るためにも、どうぞよろしくお願いいたします。