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http://ci.nii.ac.jp/naid/40019765589
小山治、2013、「初年次教育としての学習技法型授業の効果―1年生と4年生の共時比較」『大学評価研究』12。


以前、抜き刷りを頂戴した論文である。社会科学分野の学生を対象とした質問紙調査の結果から、学習技法を身に付けることを目標とする授業の厳しい限界を示している。「大学での基礎的な学習技法(=レポートの書き方など)を教えてくれる授業」を履修した経験は、授業外学習時間(授業とは関係のない学習)、成績、剽窃の有無、ノートの取り方に対して効果がなく、他方、授業関係学習時間(授業に関係する学習)に対して正の効果をもたらすという結果であった。そのうえで、学習技法型授業の間接効果の有無を調べること、学習技法型授業の効果を他の変数によって実証すること、追跡調査を行うこと、以上3点の継続課題が提起されている*1
学習技法型授業の難しさについては、おそらくその担当者によって経験的に知られていたことであろう。たとえば、教養教育科目や初年次教育科目の枠内で、レポートの書き方を扱ったとしても、専門教育科目の課題にそれを活かすことができない。文脈から切り離して「技法」を伝達することはとても困難である。
また、もしかすると、学習技法型授業を履修することが授業関係学習時間を増やすのではなく、そもそも授業関係学習時間の多い学生が学習技法型授業を履修しているのかもしれない。大学に入学してすぐ、まずは学習方法を学ぶ授業を履修してみようとする学生の特徴が表れているようにも見えるのである。そうではない学生に対して、どのように働きかけをすればよいのか、課題は多いのである。




なお、私は新たな状況に置かれたときの摩擦や葛藤といったことがらも大切にしたいので、初年次教育のうち態度、動機付けと心構えに関する諸目標―すなわち、アカデミック・スキル以外の諸目標―については、必ずしもそう簡単に達成してはならないと考えている。

*1:ところで、どうして伝統的な専門教育科目については、その教育内容、方法の効果が問われないのだろうか。新たな教育に対しては「エビデンス」を基にした効果の検証が求められるのに…。