「女子」の時代! (青弓社ライブラリー)

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第6章 信時哲郎「女子と鉄道趣味」


私は鉄道に関心がないのだけれども、ここで取り上げないわけにはいかない。なぜならば、一橋大学鉄道研究会の研究が引用されているためである。

一橋大学鉄道研究会は、現在の鉄道ブームについて「『鉄道ファン』という語への意識の変化」「かつてのファンの回帰」「ライトな層の参入」の三つに大別して説明している。(略)すべてがこれで説明できるわけではないだろうが、説得力のある分析であると思う。
実は筆者は、この論考の存在を知らずに、鉄道ファンの増加について重なる部分の多い文章を書いたことがあり、そこではオタク文化の興亡からこの現象を説明した。
171-172頁

一橋大学鉄道研究会は、ライトな男性鉄道ファンはコアな男性鉄道ファンが多数存在するために目立たないが、女性の鉄道ファンならたとえライトであっても希少価値から「鉄子」扱いされ、また、コアな鉄道ファンたちも女性の参入を歓迎していることから、ハードルが低いままでファンを名乗ることが許されているのだという。同会の女性会員による実体験をふまえての分析だが、そのとおりだと思う。
176-177頁

鉄道研究会の論考に関しては、極めてレベルが高いというウワサを聞いていた。これから論考を入手してみようと思う。たとえば、女性の鉄道ファンについての記述は納得できるものである。しかし、同時にそこには非対称的なジェンダーバイアスがあるのではないか、という疑問も出てくる。「腐女子」ならぬ「腐男子」に対する扱いは、また異なっているのではないだろうか。レポート課題で問うてみたいことがらである。