本学のミスコンが話題になっている。私は自治を重視する立場から、学生の皆さんじしんが問題を解決することを願っているところである。ただ、ジェンダーセクシュアリティに関する議論が行なわれていないことが寂しいと感じるのだ。

性別秩序の世界―ジェンダー・セクシュアリティと主体

性別秩序の世界―ジェンダー・セクシュアリティと主体

人間のセクシュアリティの在り方の基本は三種類の二元論的差異の組み合わせの相互関係が生み出すダイナミズムだと考えられます。(略)ある人が生物学的に男であるか/女であるか(x軸)。自分が有するアイデンティティが男であるか/女であるか(y軸)。自分が志向する、つまり気持ちが向かっていく相手が男であるか/女であるか(z軸)。(略)さて、先の二元論的差異の三つの軸をx縦軸(生物学的性別の区分軸)とy横軸(性的自認の区分軸)とz垂直軸(性的志向の区分軸)にして3次元的な象限を考えてみると、マトリクスとして8通りの基本形が構成されます。それは、性的主体の8通りの基本形なのです。
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実際には、y軸やz軸が必ずしもどちらか一方に定まらなかったり、x軸もまた生誕時の事情によって定まらなかったりすることもある。私たちの社会が男性/女性というカテゴリーへ強く固執する理由について検討する機会がたくさんあればよいのだけれども、そうした状況にはまだ到達していないのである。