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日本の介護システム――政策決定過程と現場ニーズの分析

日本の介護システム――政策決定過程と現場ニーズの分析

政策決定過程の勉強をしていたつもりだったのだが―政策決定過程についてはやや図式的に描かれてしまっている、世論やサービスを受ける団体も重要であるはず―、「競争原理の難しさ」として紹介されているコムスン問題が興味深く、福祉と教育の類似に思いをめぐらすばかりであった。当時、確かに介護ビジネスは成長産業と喧伝されていた。敏腕経営者の手によって僻地においても訪問介護サービスが提供されるようになったことについて、私などは感心していた次第である。しかし、介護報酬の不正請求等の問題によってコムスンは市場から撤退することになる。介護そのものに重大な瑕疵があったわけではないことは覚えておかなければならないだろう。
日本の社会保障制度が「救貧(弱者救済)的サービス」から「普遍的なサービス」を志向するにつれて、もちろん前者を見限ることなくその両者の特徴を踏まえたしくみの構築が必要であるという(pp.216-217)。競合性―非競合性、排除性―非排除性の2軸の図(p.218)は高等教育政策を検討するうえでも参考になる。たとえば、奨学金については依然として非競合性と非排除性の特徴を持つ「救貧(弱者救済)的サービス」にとどまるだろうし、しかもそれすら十分ではない―競合的、排除的な側面もある。また、進学費用以外のさまざまな理由によって高等教育へアクセスしない/できないということがらについては、「救貧(弱者救済)的サービス」がほとんど機能することなく、競合性と排除性の特徴を持つ「普遍的なサービス」のみが機能しているという理解につながることになるのだろうか。この1、2週間ほど高等教育の市場性という問題について、混乱した議論、粗雑な議論が散見されるので気になっているのである。
また、川上武が引用されていてもう一度勉強したくなってきた。医師の有する「有形の技術」、「無形の技術」、「技能」、これらに相当する教育専門職の有するもの、とりわけ大学教員の有するものはいったい何だろうか。