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グローバル人材育成のための大学評価指標―大学はグローバル展開企業の要請に応えられるか

グローバル人材育成のための大学評価指標―大学はグローバル展開企業の要請に応えられるか

企業インタビューで、多くの責任ある立場の方々から、日本を代表する企業として誇りを持ち、これからも日本の企業としてありたいということを聞いた。大変感銘を受けた。そして、それらの方々からは、日本の大学が優秀な卒業者を送り出すのであれば可能な限り日本人学生を採用したいが、もしそうでなければ企業としては企業間競争で生き残るために優秀な外国人をより積極的に採用せざるをえない、という厳しい認識も示された。
国民と企業の多くは、今後とも自由市場資本主義経済の下に、日本が活力ある社会を維持し、国民生活が安定・向上することを願っている。そうであればグローバル化の進展とアジア諸国の経済成長という状況の下で、日本の企業が国際的な企業間競争に耐え、日本に経済的利益を還流し、雇用を確保できるよう、政府は関係政策を形成し、実施していかなければならない。
(略)
そうであれば、日本人をグローバル人材として育成するほかなく、学校教育、大学教育を通じてグローバルに展開される経済活動を担うために必要な資質能力を形成し、多くのグローバル人材を継続的に輩出していくことが、日本企業がグローバル人材を確保することを容易にし、結果的に日本が活力ある社会を維持し、国民生活が安定・向上に繋がる(ママ)ものと考える。
38-39頁

日本経団連の文章ではない。国立教育政策研究所長の文章である。グローバル化研究については社会学経営学に一日の長がある。教育学というと怒られそうなので教育政策学(?)と言っておくけれども、その分野におけるグローバル化の認識はこの程度である。大学のグローバル化を進めていくと、大学はどの「国民」のためのものなのかという、ナショナリズムに関連した問いが提起されることになるだろう。グローバル化の必要が主張される場合に、「日本国民」のためのという含意があることに留意しておく必要がある。
このテーマに関連して、特に商学部の学生さんに対するアドバイス。表面的な経営学だけを勉強していると、経営とグローバル化の関係について見誤ることがある。経営学は「領域学」なので、それ自身では存在できない。数学、統計学、経済学といった数字に関する分野の学問に加えて、法学、心理学、史学、社会学のようないかにも文系的な知識さえも必要となるはずである。利用できる学問は何でも積極的に利用しなければならない―医学が物理学、化学等の伝統的な「個別学」のみならず、貪欲に新たな分野の学問を摂取していくように。「教養科目や他学部科目要らない」などと言って疎かにしていると、視野の狭い「グローバル人材」―就職先企業の利益と日本国の法人税収を安易に結び付けた議論をしてしまう論者―になってしまうかもしれない。