「生きる力」

学習指導要領は国民形成の設計書―その能力観と人間像の歴史的変遷

学習指導要領は国民形成の設計書―その能力観と人間像の歴史的変遷

勉強会に向けて読む。
中盤までは通史として納得しながら読むことができる。私は知識不足のため、特に第二次世界大戦以前についてはとても勉強になる。
しかし、第10章あたりから、違和感を覚えるようになる。この通史にとってはあまり本質的なことではないのだけれども、「女性の社会進出」(p.181)はおそらく賃金をもらう仕事をする女性が増えたということが言いたいのだろうが、階層論的な視点からするとその説明は不十分だろう。第11章、Windows95以前のPCに互換性がないと言ったり、「同情するならカネをくれ」という思想が子どもに蔓延していたとしたり、オカルトとカルトが混同されていたり、若者の「人間的な鍛え」の弱さを問題にしたり、神戸高塚高校校門圧死事件を教師のまじめさで片付けたり…、読み進めなくなってくる。DeCeCoやPISAは「批判的考察」の対象外ということなのだろうか。
カリキュラム研究、どうすれば面白くすることができるのか、再び悩んでしまう。科研費の申請書に「工業高校とのカリキュラムの接続を図る」云々と書いたのだけど、さてどうしたものか。