経営者育成の理論的基盤―経営技能の習得とケース・メソッド

経営者育成の理論的基盤―経営技能の習得とケース・メソッド

心にふれる、学習者によりそう、現実にむきあう、きりむすぶ、わかってあげる、こうした専門用語を読むたびに頭を抱えてしまう。たとえば、わかってあげる営みをどのように評価できるのだろうか。こうした語彙への戸惑いはなかなか消えることがない。
一方、教育学以外の研究者による○○教育法、これまで単に食わず嫌いだったのだが、すぐれているものもあることをやっと理解した。この分野における医学、看護学の充実は知っていたのだが、経営学にも良いものがある。坂井正広のグループは、おさえておかなければならないのだろう。とりあえずの課題は、(1)「専門経営者」の概念の検討―salaried manager / professional manager (2) 人間関係論の軌跡―作成されたケースを読んでいると、いまだに強力である (3) 頂いている課題である、ケース・メソッドを教職等にも応用できないのか、である。
元に戻って、今朝の朝日の投稿欄の大村はま研究の事務局長の話しに関して、豊かな、魅力的な、生き生きとした、手応えのある、こうした概念に支えられる家庭の会話は、どうしても精密コードであるように思われる。親子でゲームを一緒になって楽しむというときに、精密コードとしての楽しみ方もあるだろう。その意味で、この部分は読み手に誤解を与える言い方である。中学受験関係者であれば、「ことばの力」ではなくテクニックが必要という場合があることを経験的に知っているだろう。限定コードではないという点で、ある人びとにとっては、極めて「特別な知育」に見えるはずである。