参院選に向けて、大学に関するマニフェストを並べてみる。まずは、民主党自民党公明党から。自民党の東大入試改革案や「高等教育庁」構想、自民党公明党のギャップ・イヤー導入案など、報道では取り上げられていない内容も少なくはなさそうである。

・大学生、専門学校生などの希望者全員が受けられる奨学金制度を創設します。また、大学の授業料減免制度を拡充し、教育格差を是正します。
・高校、大学などの新卒者の就職を支援するため、専門の相談員の配置や採用企業への奨励金支給などの対策を強化します。

・将来の研究開発人材の育成を重視する観点から初等教育からの「理科系教育」の充実、大学・大学院改革を通じた「高度研究開発人材」の育成強化を行います。
・高校生や大学生への給付型も含めた奨学金の拡充などを実施します。
・漁村で生活している漁業・水産業の専業従事者で、大学・大学院など高等教育の履修を目指している子弟のいる家庭が、無理なく子弟の就学に取り組めるよう、既存の奨学金に併せ、返済不要の就学生活給付金(仮称)を創設し、専業従事者の可処分所得及び子弟の就学地の物価水準に合わせた「就学生活給付金」を就学者に直接給付します。
・県などが持っている研究所や地域にある大学が中小企業と連携、研究・開発ができる体制整備を支援します。
・地方大学や地域の工業高校等で学んだ卒業生を地元発のオリジナル人材として地域でその能力を十二分に発揮できるよう、商工会議所・商工会等の組織機能強化に向けた抜本的な対策を講じ、「地域のヒトは地域で育てる」体制を早急に整備します。
・国や県市町村等が、地域にある高校・大学と地元中小企業との「中小企業人材」に特化したマッチング事業を行い、企業側のニーズと、そのニーズに応えられる教育・研究を高校・大学が把握できるよう環境整備を行います。
・若者について、公的機関と大学が連携し、新規学卒就職できなかった人を孤立化させない取組みを行います。
大学全入時代の大学入試のあり方そのものを検討します。例えば、東京大学において、現行の入学試験とともに、世界のリーダーたる人材の養成を前提とした入学試験を行います。一度社会に出てからも、学び直しができるよう、社会人が再び大学で学べるシステムを導入し、キャリアアップの機会保障と再チャレンジを促進します。
・真に公助が必要な児童・生徒が安心して高校、大学、専修・各種学校に通えるよう、新たな就学援助制度や給付型奨学金の創設、特に私学における低所得者の授業料無償化等を行い、家庭の経済状況に関わらず、志ある子どもたちの夢を徹底支援します。
・東大・京大等に民間企業型ガバナンスを導入すること等により「民営化」、「スーパー・ユニバーシティ化」を図り、私学も含め5年後までに世界の大学ランキングの10位以内に3校、30位以内に5校以上入ることを目指します。大学を国際標準である9月入学とし、高校卒業後の3ヵ月間は社会体験ボランティア活動期間とします。
・「高等教育庁」の検討等、公正かつ抜本的な高等教育・大学振興策を策定・推進します。私立大学の収入の約8割は学生納付金であり受益者負担が重く、国公私立大学の設置形態論・経費の受益者負担論の見直し等を行い、財政支出の仕組みを再構築します。地域共創(大学と地方・地域社会、産業の連携)運動を積極的に推進します。
・わが国の基礎科学の中核を担っているのは、多様な人材が集い、教育活動や研究活動を行っている大学ですが、近年、その安定的な教育研究活動を支える基盤的経費(国立大学法人運営費交付金及び施設整備費補助金、私学助成)が大幅な減少傾向にあります。これにより、教員数の維持や施設・設備の管理・運用等で、多大な困難が生じていると指摘されていることから、わが国の基礎科学を強化する観点により、これらの基盤的経費を十分に確保します。
・大学院について、研究活動のみならず教育活動を一層重視し、体系的かつ集中的な人材育成の取組みを強化するとともに、社会の多様な場で活躍する人材を育成・確保するため、産業界や優れた人材育成の取組みを行っている公的研究機関等との密接な連携・協力を推進し、大学院における教育活動を強化します。世界をリードする大学院の形成を促進するとともに、世界水準にある大学院の層に厚みを持たせるため、世界最先端の優れた教育研究活動を行う大学や特定分野で質の高い教育研究活動を行う大学等に対する重点的支援を強化します。教育研究活動の「たこつぼ化」を排除するため、学問分野別に細分化されて設けられている学協会の改革を促進します。
・世界最高水準の教育研究を目指し、沖縄科学技術大学院大学の平成24年度までの開校に向け、「沖縄科学技術大学院大学学園法」に基づき準備を着実に進めます。これにより、沖縄の自立的発展及び世界の科学技術の発展に寄与していきます。
・入学金や授業料免除の対象拡大、給付型奨学金の創設、ティーチング・アシスタント及びリサーチ・アシスタントの充実など博士課程院生への経済支援を抜本的に拡充し、学生全員が安心して学べる環境を整備します。単なる任期付ではない若手研究者のポストを大幅に増やすとともに、キャリアパスを多様化するため、産業界の研究職や知的財産管理等の研究支援に携わる専門職等での活躍を促進します。公的研究機関等における、ポスドク等を対象とした専門人材育成の取組みを支援し、活躍機会を拡大します。若手研究者が自立して研究に専念できるようにするための新たな研究資金制度として、当該研究者の名前を冠した「冠プロジェクト」を創設します。
・「留学生30万人計画」の2020年実現を目指し、国・地域・分野等に留意しつつ、優秀な留学生を戦略的に獲得します。

・職業教育の充実を図るために、高校や大学において職業体験学習やインターンシップを単位として認定します。
・大学卒業後3年間は在学生と同様に大学の就職支援が受けられるよう、関係省庁の連携による積極的な対策を促しつつ、大学の就職支援機能や体制の強化など環境整備を行います。
グローバル化する社会で活躍する優秀な人材を育成するため、「留学支援プログラム」を策定し、今後10 年間で100万人の日本人学生を留学生として海外へ派遣します。
・日本人学生の留学を支援するため、給付型奨学金の導入、奨学金対象枠の大幅な拡大、外国政府等の奨学金による海外留学の円滑実施など、公的留学制度を抜本的に拡充します。
・医学教育の中核を担っている大学病院の医療環境を飛躍的に向上させるため、医療事務補助者の配置の促進などをはじめとした医師等勤務環境の改善や救急医療体制の整備に取り組みます。
・大学生等が経済的な理由から教育を受ける機会が奪われることのないよう、給付型奨学金を創設します。また、無利子奨学金や返還免除制度を拡充します。
・大学ごとの採用枠を撤廃し、1次募集の段階ですべての学生に奨学金が貸与できるようにします。
・民間企業等による奨学金事業を拡大するための環境を整備します。
・大学等における授業料減免措置を拡充します。また、優秀な大学院生をティーチング・アシスタント等として雇用するなど経済的支援を拡充します。
・他大学等で履修した科目を、所属する大学の単位として認定する「授業単位互換制度」を拡充します。
・大学と産業界との連携強化など、大学院の博士課程を修了した研究者(ポストドクター)の就労支援を拡充します。
・社会人や職業人のキャリアアップやフリーター等の学び直しの機会の確保、高齢社会に対応した多様な生き方の実現等をめざし、大学や専修学校等でいつでも自由に学習機会を選択し、学ぶことができる生涯学習社会を構築します。
・高校生・大学生の海外留学や海外の研究者の受け入れを進めるとともに、若手や女性の優秀な研究者が能力を発揮できるような環境整備を進めるなど、グローバルに活躍できる人材の育成と確保に取り組みます。
・経済的事情にかかわらず意欲ある人が広く法曹をめざせるよう、司法修習生法科大学院生に対する経済的支援策の充実など、法曹養成制度全体に対する財政支援策の拡充に取り組みます。
・大学等に専門的な教育プログラムを構築することを促すなど、社会的企業を担う人材を育成
・中小企業のベテランの技能・技術を若手技術者が継承しやすくするため、産学連携製造中核人材育成事業により大学・高専等の教育機関で100講座を開設し若手人材を育成します。
・英国で導入されている「ギャップイヤー」制度を日本でも導入し、大学合格後1〜2 年間、中小企業やボランティアを経験できるようにするとともに、新卒一括採用方式の見直しを進め、多様な職業選択が可能な社会を構築します。