- 作者: 宮島喬
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1999/02
- メディア: 単行本
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一方で、どうしても苦手なのが、「身体化された文化」を前面に出して行うような議論である。他者の文化を直接的、間接的に蔑むことを通して*1、自説の優位を主張する場面に出くわすことがある。とりわけ「大学観」が大きなテーマとなる際には、経済合理性や手続きの正当性というよりは、(曖昧な言い方にしておきますが)文化のヒエラルヒーがこれまで重要な意味を持っていた。しかしながら、面倒なことに、近年の「大学改革」においては前者が幅を利かせていて、後者はかなり分が悪い。形勢の悪さを自認しているからこそ、他者の文化に基づいた「大学観」が絶対的に「正しく」なく、「洗練された」ものではないことをさらに強く主張するようになる。そこには歩み寄る余地がまったくなく、当惑してしまうのである。
*1:この蔑みの方法もまた、とても「正しく」、「洗練された」ものであるようだ…。