行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

理論と政策を媒介するドクトリンの概念はとても面白い。理論そのものが政策になるわけではないことは自明なのであるが、確かにこうした概念化は明確には行われてこなかった。
そのうえでわからないことは、まず、実践的な一部の行政学がドクトリンを作り出すことに意識的であることに関して、そこに存在するとされる「創造的な曖昧さ」や「公益として提示される私益」といった理論とは異なるドクトリンの性格を無批判に受容していると思われる点である。「分析上も興味深い」といった指摘にとどまらず、まさに分析しなければならない「再帰性」の課題なのではないだろうか。次に、政策のすべての活動が必ずしも理論に基づいているわけではなく、慣習や合理性によるものもあるだろう。理論、政策、ドクトリンと区分する場合に、その分析射程がどこまでなのか、もう少し知りたいと思った。