中教審大学分科会の質保証システム部会が「大学における社会的・職業的自立に関する指導等(キャリアガイダンス)の実施について」を発表している。それによると、


社会的・職業的自立に関する指導等に係る規定を大学設置基準に位置づける


らしい。これは、従来の第42条「厚生補導」の枠を越えたものであって、教育課程内外の活動を両方とも含む概念として新たな概念をつくるのことである。しかし、現行の大学設置基準に教育課程「内」に踏み込んだ内容を挿入することが果たして適切なのか、事態を見守らなければならない。
また、職業的自立はまだ良いとして、社会的自立とはどのような意味だろうか。反対に、「社会的ではない」自立というものを考えてみようとしたが、やはりよくわからない。社会的自立は論者によってその意味を変えるマジックワードとして機能するだろう(たとえば、部会の議論の中である大学協会の責任者は、「社会的なすさみ」という表現で若者の犯罪傾向を強調してみせてから、「社会的」自立の必要を説いている)。欧州各国、とりわけ、英国では若者の自立をより包括的に捉えようと努力してきたはずなのだが、それに比べて今回の「社会的・職業的自立」はあまりに矮小なもののように見えるのだ。