福祉政治―日本の生活保障とデモクラシー (有斐閣Insight)

福祉政治―日本の生活保障とデモクラシー (有斐閣Insight)

福祉・雇用レジームを論じる際、どうして教育を対象としてこなかったのか、やはりその理由がよくわからない。スウェーデンの生涯教育が軽く言及されるだけで、主たるテーマとして教育財政が扱われることはない。もちろん、戦後日本の高等教育政策の実質の「なさ」を主張する論者もいるわけだが、しかし、仮にそうであったのだとしても、「ない」なら「ない」なりに、レジームとの関係性が説明されなければならないという課題は残されている。
また、課題レポートを書くためにこのブログを読んでいる学生のために付け加えると、「福祉」言説から若者はずっと排除されてきた。福祉=高齢者や失業者、のイメージがいまだに強いだろう。しかし、このことは、まさしく「調整的言説」や「コミュニケーション的言説」に由来することである。課題レポートにおいて、若者を福祉、あるいは、福祉政治に位置付ける試みを展開するのも一つの方法である。