セラピー文化の社会学―ネットワークビジネス・自己啓発・トラウマ

セラピー文化の社会学―ネットワークビジネス・自己啓発・トラウマ

ポジティブ・シンキング」とポップ心理学のつながり、今まで考えたこともなかった。筆者に指摘されてしまうように、読み手の私は「ポジティブ・シンキング」が宗教に由来する思想であるなどと思ったことはまったくなかったのである。
ないものねだりをすると、伝統的な社会運動、「新しい」ことのない社会運動を、セラピーの2形態(「弱い」/「強い」)のどちらだったかについて理解を深めたかった。「全世界の当事者よ、連帯せよ」という文言からは、どうしても「強い」の形態を想定してしまう。「ありのままの貴方でよい」では収まらない。対抗文化的な思想の下にあっても「強い」形態はあるように思われるのだ。
ともあれ、儲かるわけがないネットワーク・ビジネスが、一定の賛同を集めている理由がとてもよくわかった。