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大学と社会 大学と社会

本日午後、東キャンパスにおいて、ある損害保険会社が極めて会社説明会に近い内容のイベントを開催していた。あくまでも学生の内定者による自発的なイベントであるそうだが、実際には同社の採用担当課長がお目見えしていた*1
問題は、木曜日の午後であったことだ。本学の比較的規模の大きい(中規模以上の教室を利用するぐらいだろうか)就職関係のイベントは、講義がほとんど開講されない水曜日の午後に行うことが慣例である。理由はもちろん、学生の講義出席を妨げないためである。ほとんどの企業はこの慣行を遵守している一方で*2、この保険会社は、かつてから本学と企業で作り上げてきた慣行をまったく無視してきた。本日は良い機会だったので、大学教育の質を高めることを主要業務の一つとする大教センター教員として抗議した次第である。
ところが、この採用担当課長、なかなかのタフ・ネゴシエーターである。主な反論は次の3点であった。

  • 採用選考活動ではない。情報を提供する機会にすぎない。日本経団連倫理憲章にも抵触しない。
  • 長時間開催している。学生は講義に欠席することなく、どこかの時間帯に出席できるようになっている。
  • 予習復習の時間をも妨げると言うのであれば、アルバイトやサークルの時間も制限すべきだ。

どれもこれも、ある立場からは正論なのであって、同時に別の立場からは詭弁なのだ。私としては、にもかかわらず学生の心理的負担は次の二点のように大きいこと、一つは参加する学生は必ずしも情報提供だけのイベントとは認識せずに採用選考を期待している、もう一つは参加しない学生にとっても徒に不安をあおる、また、そもそも今回のイベントは学生による自発的なイベントとして学生担当の部署によって把握されているわけではないのであって、企業名を出して人事担当者が来校するようなイベントとしてキャリア担当部署によっては把握されていない(キャリア系のイベントとしてはルール違反である)旨を伝えた。今後は、本学のキャリア担当部署と調整を図るとのことであった。
一点、気がかりなことは、採用担当課長の横にたたずむ、虚ろな目の超一流保険会社内定者である。もはや本学教員の声(二宮ごときの声)は届かず、担当課長(学生に向けて、「お前は黙ってろ、俺が何とかするから」)の言うがままである。将来が案じらてならない*3

*1:この保険会社の国民政治協会への政治献金額(2005年)は1,764万円[衆、財務金融委員会、13号、平成19年05月18日]。保険会社が体制維持の保険金を支払う構図、とても興味深い。

*2:規模の小さいイベントは例外である―黙認、もしくは、把握すらできない。

*3:また別の内定者は、この抗議が個人的なものか、大学によるものか、ばかりを気にしていた。何というか、立場のようなものを考慮しなければ発言できない習慣を身につけてしまっているようで、とても寒々しい思いがした。