自己コントロールの檻 (講談社選書メチエ)

自己コントロールの檻 (講談社選書メチエ)

(臨床)心理学関連の文献を読んでいると、それ(=「こころ」の働き)だけで世界が構成されている錯覚に陥ってしまう。そこで、再び(知識)社会学に戻ってみる。
社会の心理主義化、と社会のマクドナルド化、個々それぞれに著者の言う通りである。しかし、この両者を結びつけるものとして感情社会学の知見が持ち出されるのだが、もう少し説明が必要であると思う。確かに、自助マニュアルのような事例は、ファーストフード産業と同じ原理を有しているように見える。一方で、カウンセリングという営みは、予測可能性や効率性からはほど遠く、必ずしも予定調和的ではない場合もある。心理主義化の内容を分節化すると、より面白くなるのだろう。