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大学と社会 大学と社会

あるところから初年次教育に関する調査依頼が寄せられた。あまりにも居丈高な姿勢に驚いたことはさておき、気掛かりなことがある。
調査の趣旨に次のようなことが述べられている。



全体的に学生の大学への適応不全が起こっており、包括的な対応が強く求められるようになりました。



たとえば、キャリア教育に対する批判の一つとして、それが「適応主義」的であることが挙げられる(この言葉の意味がわからないキャリア教育関係者は、教育学を一から勉強してみよう)。その一方で、教育機関は生徒、学生に対して、当該機関への「適応」を求めてしまう。従来であれば、教育機関への「適応」は、教育(学)ジャーゴンの価値的な美辞麗句のなかで隠蔽されていた。しかし、調査の趣旨によれば、「適応不全」のままでいることは許されず、あからさまに「適応」が必要であるという。
初年次教育は「適応主義」的にならざるを得ない。その点で、手放しでは歓迎できないのである。「ふり返りシート」や「ポートフォリオ」が重要であることを否定はしないが、しかし、そんなものを通じて大学文化、企業文化へ簡単には「適応」しないことへの自由を確保したいのである。とはいえ、「適応主義」的な教育が必ずしも意図通りの帰結を導かないことは、よく知られたことである。初年次教育に対する学生のやり過ごし方に注目してみたい。