お茶の水女子大学のFD公開シンポジウムに参加した。本年度よりスタートした「21世紀型文理融合リベラルアーツ」は、学生の関心も高いようであり、今後の展開が大いに期待できそうである。
気になったことを一つだけ挙げておく。個々の科目に関しては、目標と評価基準が示されたシラバスが作成されていて、高度な研究に基づいた知識の伝達が確実に、また、従来通りに行われていることは間違いないだろう。しかし、10単位以上の履修によって系列(科目群)の「履修認定」を授与するという場合に、そのある一定のまとまりを持つ系列(科目群)に関する目標や評価基準が設定されていない。「領域を横断した視野」を獲得したという評価はどのようにして可能になるのだろうか。
こうした履修証明、ディプロマ、副専攻…、は今後ますます増加するであろう。学生にとっても自らの学びを「サブジェクト」ではなく「コース」として認識することが容易になるであろうから、それじたいは好ましいものと考える。とはいえ、卒業論文や卒業研究とは異なるかたちの、あるまとまりを持った学びに関する評価をどうするかという点については、まだまだ議論が必要なのである。
お茶の水女子大学の教養教育改革の取組みは先進的なものであり、非常に参考になる。関係の皆様に感謝申し上げる。