多元化する「能力」と日本社会 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで 日本の〈現代〉13
- 作者: 本田由紀
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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ところで、例のSCANSは、幼稚園から高校までを主として対象にしていた。一方、日本においては、職業に直接的に結び付けられた「ポスト近代型能力」言説は、むしろ高等教育に関して盛んである。「○○力」を編み出す手法の多くはSCANSに類似しているのだが(一時期流行していた「ハイ・パフォーマー」に関するコンピテンシー分析などは採用されない―ヘイ・コンサルティング・グループの商売になりそうだが)、対象とする教育段階がSCANSとは異なっている。あまり成功しているようには見えない国の事例を模倣する理由と合わせて、対象のズレを政策過程の課題として検討しなければならない。