書籍

「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)(中教審第211号)」を読む

50年目の「大学解体」 20年後の大学再生: 高等教育政策をめぐる知の貧困を越えて作者:佐藤 郁哉出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2018/12/18メディア: 単行本 当然ではあるが、現状把握、政策立案、政策実施の全ての局面に対して「エビデンス・ベ…

高等教育研究者に対する問題提起

広田照幸、2019、『大学論を組み替える―新たな議論のために―』名古屋大学出版会 www.unp.or.jp https://www.amazon.co.jp/dp/4815809674 著者からお送り頂きました。ありがとうございます。 教育に関する社会史や、現代の初等中等教育や生徒・児童の諸「問題…

シグナリングだいすき

大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学作者: ブライアン・カプラン,月谷真紀出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/07/17メディア: 単行本この商品を含むブログを見るシグナリング・モデルによって学業達成と職業・収入との結びつきについて、…

品質保証国家とデータ

測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?作者: ジェリー・Z・ミュラー,松本裕出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/04/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 「はじめに」に書かれているように、筆者は歴史学者であるものの、大学で管…

「わがまま」をときほぐす作業

みんなの「わがまま」入門作者: 富永京子出版社/メーカー: 左右社発売日: 2019/04/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る著者、出版社よりお送り頂きました。ありがとうございます。 http://sayusha.com/catalog/books/p9784865282306c0036 「はじめ…

「植民地大学」

アメリカ占領期の沖縄高等教育――文化冷戦時代の民主教育の光と影作者: 溝口聡出版社/メーカー: 吉田書店発売日: 2019/02/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る沖縄における戦後高等教育史、特に琉球大学の歴史について、私は知らないことが多くとて…

当事者にとっての転職の意味

転職の意味の探究: 質的研究によるキャリアモデルの構成 (名古屋学院大学総合研究所研究叢書 30)作者: 安藤りか出版社/メーカー: 北大路書房発売日: 2019/02/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る臨床心理士であり、かつ、一般の職業を経験しCDA資…

ライティング支援の事例について

大学におけるライティング支援作者: 津田塾大学ライティングセンター,関西大学ライティングラボ出版社/メーカー: 東信堂発売日: 2019/03/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る津田塾大学ライティングセンター、出版社からお送り頂…

ヤンキー研究の感想

〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す作者: 知念渉出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2018/12/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る ダイが後ろの席にある筆箱を見て「きもっ」という。見ると、その筆箱には、短髪の男…

学生調査の話題

50年目の「大学解体」 20年後の大学再生: 高等教育政策をめぐる知の貧困を越えて作者: 佐藤郁哉出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2018/12/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る終章「蒙昧主義的教育行政を越えて」において、学生調査に…

デザイン・思想・国家

スウェーデン・デザインと福祉国家: 住まいと人づくりの文化史作者: 太田美幸出版社/メーカー: 新評論発売日: 2018/10/03メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 盟友である一橋大学の太田美幸先生から『スウェーデン・デザインと福祉国家: 住まいと人…

いただきもの―教育社会学入門書と教育学入門書

honto.jp大妻女子大学の牧野智和先生から、吉田武男(監修)、飯田浩之・岡本智周(編著)『教育社会学:MINERVAはじめて学ぶ教職』ミネルヴァ書房、2018をお送り頂きました。ありがとうございます。 牧野先生ご執筆の第10章「学校という空間と社会」におい…

『文系大学教育は仕事の役に立つのか』

8月に『文系大学教育は仕事の役に立つのか:職業的レリバンスの検討』が刊行されます。 (出版社さんから掲載許可を頂いた書影です) https://honto.jp/netstore/pd-book_29179035.html (honto:本の通販ストア)問題関心 長期的な価値創造や人類的な普遍性…

新書(だけ)で読む能力主義[後編]

研究室の書架にある新書縛り能力主義論、後編である[後編]。教育の力 (講談社現代新書)作者: 苫野一徳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/03/19メディア: 新書この商品を含むブログ (12件) を見る 「選抜」についてですが、このテーマに関して最初に理解…

新書(だけ)で読む能力主義[前編]

学者は「能力主義」についてどのようなことを語ってきたのか、研究室の書架にある新書縛りで確認してみよう。[前編]日本教育小史―近・現代 (岩波新書)作者: 山住正己出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1987/01/20メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含…

群大ビブリオバトル2018菖蒲月

本日の講義でビブリオバトルを行いました。若者に関連する書籍、ただし若者の定義はそれぞれに任せるという条件で実施した結果、全14グループのチャンプ本は以下のとおりになりました(学生が文庫版を挙げている場合には、そのまま文庫版を提示しています)…

「二つのライフ」

高大接続の本質―「学校と社会をつなぐ調査」から見えてきた課題 (どんな高校生が大学、社会で成長するのか2)作者: 溝上慎一,京都大学高等教育研究開発推進センター,河合塾出版社/メーカー: 学事出版発売日: 2018/02/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この…

辺境にある学問

変容する社会と教育のゆくえ (教育社会学のフロンティア 2)作者: 日本教育社会学会,稲垣恭子,内田良出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2018/03/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る執筆者のお一人からお送り頂きました。勉…

働く青年

この1、2ヶ月ほど、たとえば次のような本を読んでいた。高等教育論を研究していると、どうしてもその対象としてかつてはエリートであった大学生を選んでしまう。しかし、ある時期までは大学生が同年代の若者・青年の中では特殊であったことを思い起こすため…

卓越化と大学

文化・階級・卓越化 (ソシオロジー選書)作者: トニーベネット,マイクサヴィジ,エリザベスシルヴァ,アランワード,モデストガヨ=カル,Tony Bennett,Mike Savage,Elizabeth Silva,Alan Warde,Modesto Gayo‐Cal,磯直樹,香川めい,森田次朗,知念渉,相澤真一出版社/…

学校から仕事へのスムーズでもなく、間断のないこともない移行

honto.jp 執筆者のお一人からお送り頂きました。ありがとうございます。問題意識は次のように示されている。 若年層の教育および職業キャリアをめぐる状況は近年大きく変容してきたといわれる。広く社会的にも話題となっているフリーター・ニート問題のみな…

「社会を知る」キャリア教育

honto.jp ナカニシヤ出版様よりお送りいただきました。ありがとうございます。類書との違いは「社会を知る」というテーマが、全体の3分の1ほどを占めていることである。最近はそうではないキャリア教育のテキストは増えてきてはいるものの、かつて大学生が読…

反「大学改革」論のイベント

honto.jp 『反「大学改革」論:若手からの問題提起』について、宣伝を3つさせてください。 1.ナカニシヤ出版『反「大学改革」論:若手からの問題提起』刊行記念トークショー 渡邉浩一さん✕井上義和さん✕坂本尚志さん “大学の現状について語り合いませんか…

高等教育機関「国際化」と「英語プログラム」

東アジアにおける留学生移動のパラダイム転換―大学国際化と「英語プログラム」の日韓比較作者: 嶋内佐絵出版社/メーカー: 東信堂発売日: 2016/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るかつての勤務校で、「グローバル30」に応募する準備をした…

鍵のついた書籍を読み上げる時代からの長い伝統を持つ講義法について

講義法 (〈シリーズ 大学の教授法〉2)作者: 佐藤浩章出版社/メーカー: 玉川大学出版部発売日: 2017/06/27メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る待ち望んでいた書籍が出版された。たとえば、これまでアクティブ・ラーニングに焦点を絞…

『反「大学改革」論』本が出ます

6月中旬に『反「大学改革」論:若手からの問題提起』が刊行されます。 (出版社さんから掲載許可を頂いた書影です) https://honto.jp/netstore/pd-book_28478516.html (honto:本の通販ストア) 本書の趣旨と問題意識 「これから大学はどうなっていくのだ…

絶望かもしれないけど運動するよ(春の若者論三本勝負最終戦)

春のひとりで若者論を読む企画、第3回(最終回)である。2017年3月に発売されたばかりの新刊を読む。思いつくままに感想を書く。整理された文章ではなく恐縮である。社会運動と若者:日常と出来事を往還する政治作者: 富永京子出版社/メーカー: ナカニシヤ出…

テイストの社会学(春の若者論三本勝負第二戦)

社会にとって趣味とは何か:文化社会学の方法規準 (河出ブックス 103)作者: 北田暁大,解体研出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/03/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見るこれも同じく講義で学生に読んでもらうために…

広尾、麻布十番、六本木、今日はどちらに下りるか

二十一世紀の若者論―あいまいな不安を生きる作者: 小谷敏出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2017/02/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る講義で学生に読んでもらうために購入、その予習として勉強した。しかし、筆者が冒…

テストってなんだろう

テストは何を測るのか―項目反応理論の考え方作者: 光永悠彦出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2017/02/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る出版社からご恵贈頂きました。ありがとうございます。 何かを測定したり評価したりする際には繰り返…